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僕の狭い部屋で彼女がハイソックスをそっと脱いだ 紺と白とプリーツと彼女の肌についたソックスの跡のミニマムほとんど白黒映画 狭いが窓の大きい部屋カーテンから吹き込む風なんの変哲もない田舎町 ミニマム/

 

頭の中ではさっき彼女と乗って帰った電車の吊り広告どうしようもない繁華街のくすぶった熱狂僕の開きっぱなしのかばんから覗く現代文の教科書のボルドー色の細い背表紙の記憶が狂い咲いたように

この部屋の空気を満たして

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プールに浮かぶ

赤い点点が

花に見えたのは

夏の熱のせいか

 

涙目で退場する

少女の人生の点点が

こんなところじゃなきゃいいのに

伸びすぎた葉陰の下で思う

 

青春は

あっというまに

結晶になる

誰にも言語化できない

 

遠回りして辿り着いたように見えたのは自分勝手な回収作業の3巡目くらいで、トラクターに載せた手作りのおもちゃ、きみが描いた絵、手触りの悪くなったブランケット、そんなものぜんぶが真夏の陽光の下で要らないものに思えて、それでも涙目だった少女のように、からだひとつでやっていけるほど、僕は、僕を作り上げてきたものたちは美しくないと、思い知れば知るほど、僕は僕が生身の人間だとも、思い知るのでした、

 

彼女は水着から伸びる細い腕で自由自在に黒くて重いハンドルを回し、流れる水みたいなかたちの脚腰でアクセルとブレーキを器用に踏み変えて、要らないものばかりを積んだトラクターの助手席に僕を追いやって、くだらない街の小さなコンビニエンスストアに突っ込んで、記憶ごと炎上、させてくれることでしょう。

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4月の 地球の 淡萌黄の 新芽と 深いブルーの 海が 1億2676人の 浮かれた春によって 転覆し まっさかさま

ぜんぶ 黒い煙や 灰色の 元永田町の ビル群だった瓦礫に うもれた

 

しゃしんをとるひと は もう いないのね

みんな飽きっぽいから

 

地球をおおっていたはずの 深いブルーは 今度は自分が世界の中心だと 言って聞かず ロマンチックな造り話で 星座をいいくるめて 味方につけた きらきら きらきら

 

淡萌黄色の新芽は あっさり太陽に焼かれた 灰です

 

その灰で 5月を待たずに 次の新芽が 伸びるはずだったが 暴君であるところの元 海 の 深いブルー こと 空 は 太陽に居場所を譲らず 一歩も動かず 今こそはためくように 波うっている

 

しゃしんをとるひと は もう いないのね

みんな飽きっぽいから

そこから さきの 季節は もうだれも 知らない。

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パパママぼくは夢を見てるの?

パジャマ姿でKFCを頬張る

失われた雨上がり 太鼓の音

浮輪で揺れる空気を泳ぐ

 

骸骨がそのへんにころがっているんだ

気のせいだよ

幸せも苦痛も

ヴェールの向こうの澄んだ瞳に誓ったんだろう

きみは覚えてないのかい

笑顔みたいな骸骨だよ

白い骨が濡れた道路に横断歩道みたいな縞を作って散らばってるんだ

 

アスファルトと人間の骨は相性が悪いから これはきっと夢だよ

 

パジャマ姿のまるまる太った少年

浮輪で宙を泳ぐ練習

 

あのときのヴェールみたいな小雨

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なんでもかんでも やっかんだり ひがんだり

熱い紅茶で火傷をし

見返したら私の後ろにはひよこ1匹おらず

見渡したらすべての窓という窓が破れ

風はこのページも向かいの友人への言葉(本当のところは些細すぎて言葉にもなりきらなかったことば)もエジプトの砂漠に吹きとばして

熱くてまともに散歩も出来ない 会話もならない

私達が交わした刃物のような言葉たちも

熱に負けて紅茶に解ける角砂糖の組織細胞ひとつひとつも

幻になったのでした 同じころエジプトの少年は

山のような洗濯物に埋められそうに バランスをとりながら

歌(些細すぎて言葉になりきらなかったことば)のような音声を紡ぎ

青すぎて彼の中ではすでにゲシュタルト崩壊しきっている空のようなものを

見たり

本当のところは ひとりぼっちで うずくまろうにも

はなから 向かいあうためのテーブルも

見渡すためのガラス窓もない憂鬱。

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くまのぬいぐるみのお話

子どもの頃ともだちがいなかったかわりにたくさんのくまのぬいぐるみに囲まれてました いちばんだいじにしてた白い子には出自不明の「星の王子さま」というタグがついていたのでその子がくまの王国の王子さまで2番目にお気に入りだった同じように白くてひとまわりでかい子が王さまでした 取っ手とチャックがついたへなっとしたこげ茶の3番目に好きだった子は従者でした くまの王国だけどハムスターとかビーバーみたいなのもいました その子たちはちっちゃいので召使いでした なぜか全員雄設定でした わたしは星の王子さま(名前をつけてたけど忘れちゃった)と仲がいいのでその子といっしょに王さまにかわいがられていました いま思い出せるのはこのくらいだけど いまでは信じられないくらい膨大な妄想を繰り広げていました 何歳くらいの頃のことだったかな 小5くらいまでは本気でやっていたと思います 王子さまのくまちゃんのテーマソングをつくったり その頃趣味だった漫画に描いたりしてたような気がします

いまでも枕もとに王子さまと王さまがいてほかの子は飾り棚にしまっています でも遊んであげないと日焼けしてパサパサしてくるんだよね その頃にひとり遊びはもう十分だと思ったのにな。

 

中学生になって相変わらず安定して遊んだりするともだちは出来ないけど彼氏っぽいひとは出来たりして でもパパと仲が良すぎて毎週末デートしてたので罪悪感がすごくてすぐ別れたりとか 高校のあいだもそんな感じで まず家から最寄り駅まで自転車で20分なので出かけるだけで大ごとでひとりで遠出するのがめっちゃ苦手だった 毎日その日あった面白いことをインターネットでうわのそらの母親に話して聞かせるのが楽しみだった それでもバンドやったりしてたから知り合いは増えてよく知らん部活の先輩とデートしたりとか 大学入ったときは門限が0時でやりたいことやってるだけで悪気はないのに破りまくって怒られまくってすごい仲悪くなったり私には言わないけど父親がブチ切れてるとか母親づてに聞いたり そのうち家に帰らないことも多くなったりして ともだちできないからパパっ子だったのかもしれないけどそれ以外の選択肢ができていろいろ客観視するようになって バンドで派手なことするからかちょっとだけちやほやされたりなんかして ひとり遊びから離れられて でも人との距離感取れないからあんまりいろいろ上手くいかなくて 最後までそれだったな ひとり遊び飽きてるからバンドなんだけどな

 

くまちゃんの話がしたかったのに雑に半生を語るみたいになっちゃった おあいそ

夜の最下層 構造は乱れて区別もつかない

ヒトはヒトらしさを歌舞伎町の街灯に託して顔を失ってゆく

さよなら 友だち 「かわいそう」 の続きを絵に描く人

知らない名前のインクが 混ざり合ったり/飛び散ったり

きらきら

模造紙の上に手のひらを置いて地球を感じた、いや、考えた

真っすぐな線や 地図が 書けずに 地球の外へ落ちた

あの娘(こ)たちは油性ペンでデコレーションした黄色い上履きのかかとを踏みつぶしたまま 水色の水を今も

汲んでは 吐き 汲んでは 吐き

地球の外は

きらきら

で あるべき だった

本の内容は嘘ばかりついている

チャイムは今も毎日鳴る 

街灯を 灯す時間を お知らせします

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